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俺達は仲間だろう、俺達だって分かり合ってただろう。さっきだってお前は俺の意図を察し、彼女を助けた。
照準は完璧に合っていた。引き金を引けば、あれに確実に命中する。そして確実に落とすことが出来る。でも指が震える。何故撃てない。俺の覚悟はこんなものなのか。
分かりたくない、彼女が敵だなんて。
でも、分かっている。イノベーターは敵で、イノベーターである彼女は敵だ。自分でトリガーくらい引ける。
でも、戦えない理由というお前に、俺には返す言葉がなかった。
すぐに敵は姿を現した、考えいている暇などない。もしもの時なんてなければいい。お前にだって撃たせなければいい。
互いの武器が飛び交う。俺達の剣が重なる。なぜ戦わなければならないのか。俺達は人とイノベーターだとしても分かり合っていた。偽りなんかじゃない。
それなら、力づくで奪い取るだけだ。諦めるなんて出来ない、人でもイノベーターでも関係ない。
戻ってこいと言った言葉に彼女は確かに動いた。浮かべた涙は嘘なんかじゃなかった。
でも、彼女の機体がは突如動きだした。
俺は愚かな人間でいい、愛する人を撃つなんて出来ない。
撃たせないでくれ。
彼女の機体を一筋のビームが貫く。失速した機体は俺を貫かず、力なく腕に納まった。火花が散る。お前の機体が駆けていった。
彼女の声が届く。今俺たちの間に隔てるものなんてない。俺達は分かり合えていた。本当に。彼女の安心した微笑みを俺は確かに見た。
それが別れの言葉なんて思わずに、俺も笑みを返した。
彼女の機体が俺を押す。俺達は離れた。
どうしてと問う間もなく、火花を散らす機体は爆発した。彼女を乗せたまま。

お前のいた組織は俺の家族殺し。お前のいるここは俺の兄さんを死なせた。そしてお前は俺の愛する人を撃った。
お前はどれだけ俺から奪うんだろう。
お前だって被害者だった。お前にはどうしようもなかった。お前のやったことは正しい。
分かっている。それでも、俺は気持ちを抑えきれない。
お前の静かな目がどうしようもなく苛立たせ、俺を虚しくさせる。彼女は戻ってこない。
俺はこの腕を振り下ろす先を他に知らず、それなのに俺の腕はもうお前に縋ってるみたいじゃないか。
目が熱い。溢れるものに世界が歪んで今は何も見えない。