16歳の君はガンダムのコクピットで自在に動ける。 ガンダムのお父さん、整備士のあの人に「ああ本当にちっこいマイスターだな」と笑われながらも、しっかり操縦桿に届く腕を持っている。 無くすものなど、始めから何も持たない今の自分は自由ではなくただ孤独。 16歳の君は畏れを知らずガンダムを動かせる。 「成長したな」と言われる度、踏み出す一歩を躊躇わない小さな体の君を思い出す。 無くすことが怖いと思うものが、こんなにも増えてしまい、臆病になった今の自分。 過去と未来の君たちは、今の自分の悩み迷う心を顧みないで。 未来を絶望しないで、過去を羨望しないで。 自分は何も残せない、何も託せない。 君が守り抜いた命で生かされた、それを粗末にするつもりはなかったけれど、君に渡せる命は幸運にも拾い上げられた命。 つながる今という一瞬を繰り返し、未来の君の為に積み重なる過去の自分。 16歳の君の持ち物、かけがえのない出会いと別れ、その経験。 温かな記憶を残して、明るい希望を託して。 |